2020年7月17日 19:20
図書館をホームレスが占拠! その裏に隠された貧富の格差と政治的分断
―確かに、11年前といまとではあらゆる点において、大きく変わってしまいましたよね。そのなかで、ホームレスなどの生活困窮者の置かれている状況は改善されていると感じていますか?
エステベスさん悲しいことに、状況が変わったとは言えないと思います。特にコロナ後は、世界的な不況に見舞われるので、予算カットの最初の槍玉にあげられるのが図書館なんじゃないかなと。
僕は、シンシナティの図書館でパスポートを更新できましたが、それだけのサービスを公共図書館は与えているのに、また危険にさらされるのではないかと心配しています。
子ども時代は図書館が僕のベビーシッターだった
―本作は、公共図書館の元副理事が寄稿したエッセイにインスピレーションを受けたことがきっかけだったということですが、リサーチの過程で驚いたことがあれば、教えてください。
エステベスさん今回のリサーチのなかで学んだのは、図書館に来る人と図書館員との会話には守秘義務のようなものがあるということ。法律で決まっているというわけではないですが、医者と患者、弁護士と依頼人の間にあるようなものに近いそうです。
だから、たとえば僕がデスクで図書館員と話しているときに、誰かが何かを聞きに来たとしたら、僕はその場を離れないといけないのだとか。