2020年9月10日 20:50
岩井俊二監督「逆にエンジンがかかった」コロナ禍の心境を語る
歴史があるからなのか、失われつつあるせいなのか、見ていてしみじみと自分のなかに去来するものがありました。
スマホで同じことをしても、風情がないですよね。映画を作る側からすると、いろいろな仕草や佇まいが新しい端末によって相当変わってしまったので、名残惜しい気はしています。
たとえば、昔だったら電話のシーンで、まず誰かが受話器を取って、「ちゃん、電話だよ」と声を掛けて、人が来るみたいな動きがありましたが、いまだと一瞬で終わってしまって、人の交流がないですから。こうやってどんどんいろいろなものが失われていくのは、心配ではありますね。
時代の鏡となるものを作っていると改めて気がついた
―2020年は新型コロナウイルスという大きな出来事がありましたが、そのなかでも『8日で死んだ怪獣の12日の物語』など、新しい試みで作品を作られました。ご自身の映画人生においても、新たに気づかされることもありましたか?
監督まだ振り返れる段階ではないと思いますが、ミニシアターの大変な状況を目の当たりにして、自分がいかにミニシアターと深く関わっていたのかということを改めて考えさせられました。
あとは、僕のように作品を作る立場の人間ががんばって現場を作っていかないといけないんだ、ということも意識させられて、自分のなかでは逆にエンジンがかかったように感じています。