2020年9月25日 20:20
深夜のコンビニに訪れる訳ありな人々の共通点は? コミック『光の箱』
「コンビニの店員さんって仕事が本当に多岐にわたっていて、颯爽と働く姿が万能感に満ち溢れているので、そういうかっこよさを描きたいという気持ちがありました。毎日のように通っていると顔見知りになって、向こうは相変わらずクールなのに、こちらが勝手に親しみを感じてしまうような関係性も独特ですよね」
来店する訳ありな人たちは、仕事に疲れ果てていたり、自殺を図ったり、強盗に襲われたりと、シチュエーションだけを切り取るとなかなか重い。しかし本人が死にかけていることに無自覚で、飄々とした店員の対応やコンビニというありふれた場所の効果もあって、悲壮感よりおかしみのほうが勝ってくる。
「死は日常の延長にあるものだと思うので、死を扱うからといってムードを暗くしないようにしました。メンタルがやられて選択肢を自分で狭めてしまうことは、誰にでもあると思います。そんなときコンビニで買い物をするというルーティンがきっかけで、何かが切り替わることもあるだろうし、切り替えができたときに、なんでそんなに思いつめていたのか忘れちゃうような軽さを大事にしたかったんです。運よく転換が訪れた人の強さを描きたいなって」
日常に潜む闇だけでなく、闇に消え入りそうな希望をも照らし出す、光の箱。