くらし情報『“異色”の漫画!? 『約束のネバーランド』をファン目線で英米文学者が解読』

2020年12月20日 19:10

“異色”の漫画!? 『約束のネバーランド』をファン目線で英米文学者が解読

が囚われている常識を打ち破り、不可能を可能にする力なのです。

さらに、「ジェンダー」(男らしさ/女らしさ)という現実的な問題が加わることで、物語は一層深みを増します。子供たちが暮らす孤児院は「ハウス」(家)と呼ばれ、子供たちを世話するイザベラが「ママ」と呼ばれることから、この孤児院が「家庭」を象徴していることは明らかです。森に囲まれた閉鎖的な「ハウス」における男女観は伝統的なものであり、男の子はズボン、女の子はスカートを制服としています。また原作コミックスでは、脱走を計画するエマに対し、ママは「大人になって、子供を産んで、能力が認められれば、飼育監(ママ)や補佐(シスター)としてまたこのお家(ハウス)に戻って来られるの」(四巻三十一話)と言い、「ママ」になることがエマが生き残る唯一の道であると述べます。その言葉はまるで、女の子はスカートをはき、将来は結婚して子供を産んでママになる以外に生きる道はない、という古典的なジェンダー観の中に子供を閉じ込めようとするかのようです。しかし、エマはこのような伝統的なジェンダーに抗う存在として描かれます。ショートカットのヘアスタイルに抜群の運動神経と学習能力、そして仲間を引っ張っていくリーダーシップを持つエマは、少年漫画において通常「少年」

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