2020年12月20日 19:10
“異色”の漫画!? 『約束のネバーランド』をファン目線で英米文学者が解読
という対立構造が特徴的です。『ピーター・パン』では大人である海賊フック船長が、時計を飲み込んだワニ、すなわち老いをもたらす「時間」に追われ、永遠に子供のままのピーター・パンを妬み、常に戦いを挑みます。『不思議の国のアリス』では、答えのない謎々を出しては終わらないお茶会を続ける帽子屋と三月ウサギ、すぐに首をはねよと命じるハートの女王など、頭でっかちで横暴な大人を象徴するキャラクターがアリスを翻弄します。そんな大人たちの支配を逃れ、子供の無垢な心を守るべく、アリスやピーター・パンは大人たちに立ち向かうのです。
『約束のネバーランド』でも、ママをはじめとする「大人」とエマたち「子供」の対立構造が描かれます。食用児を育成する立場にあるママは、子供たちを密かに監視し、外の世界への脱出を阻みますが、エマたちはママという「大人」の目をかいくぐり、自由を得るために知恵と勇気を振り絞ります。
特にエマが提案する「子供たち全員での脱走」という無茶で突飛な考えは、一見すると「子供っぽい理想論」にも思えます。しかし、エマが持つ「子供っぽさ」こそ、ピーター・パンがフック船長を倒し、アリスがハートの女王に立ち向かったように、「大人」