くらし情報『昭和の大作家・山田風太郎の小説をコミカライズ! 勝田文『戦中派不戦日記』』

2021年1月16日 21:10

昭和の大作家・山田風太郎の小説をコミカライズ! 勝田文『戦中派不戦日記』

国の未来を憂えてはいるけれど、どこか達観もしている。

「私は彼ほど屁理屈をこねませんけど卑屈なところは似ているので、その辺は描きやすいかもしれません。しょうもないダジャレもよく言っていて、ユーモアがあるんですよね」

戦時中の物語は、どうしても悲惨さや理不尽さに焦点が当てられがちだが、それだけではないのが本作の異色なところ。ドブ川並みに汚れた銭湯で湯当たりした老人を助けたり、苦手な試験の日に空襲が来て無試験合格になって大喜びしたり、授業で女体の模型を見て興奮したり。年表に刻まれた史実の隙間で、名もなき人々がどんなふうに暮らしていたのかが見えてくる。そんな日々を経て、2巻のクライマックスとして描かれるのが、8月15日だ。

「物語全体の山場だと思い、ここに向かって描いてきたところもあったので、今ちょっと燃え尽きちゃってるんです。だけど戦争が終わっても世界は続いていくので、このあとを描くほうがむしろ大事だと思って気を取り直しているところです」
風太郎は、そしてあの時代を生きた人々は、いかにして終戦を迎えるのか。
圧巻の2巻のラストを、ぜひそれぞれの目で確かめてほしい。

原作・山田風太郎『風太郎不戦日記』2昭和20年5月、東京を焼け出され、山形の知人宅、故郷の兵庫、学校の疎開先である信州飯田に身を寄せる山田青年。

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