2021年4月4日 21:10
羽生結弦「僕自身の希望をつなぐためにも…」 王者の“責任”と“プライド”
そこで曲かけは終わったが、そのまま4回転トーループからの3連続ジャンプとトリプルアクセルまで跳んだ。その後は4回転トーループで転倒するシーンもあったが、苦笑いを浮かべた表情も余裕があふれるものだった。
そんな羽生も、この大会に出ることを決断するまでは迷いもあったという。
「新型コロナに対しての自分の考えは、GPシリーズ欠場を決めた時と変わっていません。個人としては、感染につながるような行動はしたくないと。だから感染の第3波が来ている状態の中で、自分が出場していいかということにかなり葛藤がありました。でも世界選手権に向けてこの大会出場は必須ですし、僕自身の希望をつなぐためにも出させていただきました」
この言葉は、彼の強い決意を感じさせるものだった。世界選手権開催も不透明な段階だったが、開催されれば来年の北京五輪の国別出場枠獲得がかかってくる。
その重要な場を、自分の都合だけで回避するわけにはいかないという思い。彼の責任とプライドを感じた。
そんな思いがあったからこそ、羽生はシーズン初戦で新プログラム初披露であったにもかかわらず、ノーミスの演技をしたいという思いは強かったのだろう。それは彼が口にしたジャンプ構成からも感じた。