2021年8月12日 19:40
道端で出産、そして子どもは…モロッコで未婚の妊婦がたどる過酷な現実とリスク
と。当時は携帯もなかったので、カメラで撮り、現像した写真は母に後日渡しました。ただ、私たちは匿名でいたいという彼女の思いを尊重したため、どこの村から来た誰なのかも一切わからないまま。バスに乗って帰っていった彼女と連絡を取ることができずにいました。
ところが、それから2年が経過したある日。彼女が写真を取りに訪ねてきたのです。そのとき私はいませんでしたが、母が一緒にお茶を飲んで、写真を渡したと教えてくれました。それ以来、彼女とは音信不通ですが、実はこの映画が公開されたとき、私は彼女に向けたメッセージをさまざまな雑誌や新聞に掲載したのです。
―どのような思いを綴ったのでしょうか?
監督映画作家として、母として、私の人生においていかにあなたが重要な存在だったか。そして同じ立場にいる多くの女性たちの真実が明らかにされないなか、あなたのおかげでこういった物語をたくさんの人と分かち合うことができました、といったことを書きました。
彼女の存在と物語がどれほど社会に貢献し、どれほど私にとって意義のあることだったのかを伝えたかったのです。残念ながら、まだ彼女からの連絡はありませんが、少なくとも私の感謝の気持ちは届いているのではないかなと。