2021年10月15日 20:00
升毅「まだ悲しみとの距離が全然取れていない」急逝した監督への特別な思い
ちゃんと野村監督と僕の3人は、2014年の『群青色の、とおり道』からの付き合いで、佐々部組では同期生なんです。そういったこともあって、すごくざっくばらんに撮影は進んだんですが、だからこそ時々2人が「このあと部屋に升さんだけ残してしゃべらせよう」とかきついことを要求してくるときもありましたね(笑)。
ただ、そのなかで気がついたのは、言葉の重み。どうでもいい言葉はどんどん出てくるのに、本当に伝えたいことを言おうとすると、いろいろな映像や思いは浮かんできても「こんな言葉で言いたいんじゃない」と考え込んでしまい、なかなか口から出てこないんですよ。
しかも、すごく時間をかけて出た言葉がものすごくシンプルな言葉だったりして……。そんな自分にがっかりしたこともありました。でも、「考え抜いて出た言葉は、何も考えずに出たものとは全然違う」と野村監督たちが言ってくれたので、これはこれでよかったのかなと。台本がないぶん、次に何が来るのか毎回ドキドキしていました。
いい感じに歳を重ねられているのは、佐々部監督のおかげ
―佐々部監督へ伝えたい思いについて触れるシーンでは、そういった時間をかけて出た言葉だからこそ、シンプルでも心に響くものがありました。