2022年2月25日 19:30
父は処刑、母は強制収容所に…激動の人生を歩む93歳女性監督の過去との向き合い方
この点において、日本人は特別な感覚を持っているのではないでしょうか。暴力が蔓延し、バラバラになっている世界を救う唯一の手段は“美”だと私は考えていますが、日本人のみなさんは昔からお互いに理解し合うことや美しさを尊重している国民だと感じています。
過去を深く考えないと、現在も未来も築けない
―劇中でエレネが発する人生や過去、死に対しての言葉は、非常にどれも印象的でしたが、さまざまな経験をしてきた監督が大事にしていることは?
監督年を重ねるごとに、だんだんと人生を俯瞰して見ることができるようになってきました。そんななかで痛切に感じているのは、人生における人と人との関係性、お互いに対する思いやりや理解以上に大切なものはないということです。だからこそ、壊れた器を金継ぎで直すように人間の過去における不幸な出来事も元通りに美しく修復できたらいいなと。そういった考えをこの作品のメタファーとしてうまく表現できたと思っています。
―「過去は重荷か、財産か」という言葉も、誰もが人生で抱く問いだと感じました。激動の時代を生きてきた監督が次の世代に向けて、過去との向き合い方について伝えておきたいことはありますか?
監督私は過去について深く考え、きちんと理解しないことには現在も未来も築けないと思っています。