2022年2月25日 19:30
父は処刑、母は強制収容所に…激動の人生を歩む93歳女性監督の過去との向き合い方
そのためには頭を働かせることが必要ですが、大事なのは私たちを取り巻く世界に対する関心と興味をつねに持ち続けること。そして、もし扉をひとつ閉めたら、別の扉を開けて新しい人々と出会ったり、新しい詩を見つけ出したりしています。それが私に大きな力を与えてくれているものです。
そんなふうに、いろいろなことに興味を持っているうちは生きている実感があるので、老いのプロセスもゆっくりと進むのではないかなと。あともうひとつ付け加えるなら、誰かに必要とされている感覚を味わい、自分の存在意義を感じながら生きるというのも秘訣だと思います。
―素晴らしいお言葉をありがとうございました。日本ではジョージアの文化に触れる機会は少ないので、ご自身の作品を通して日本人に知ってほしいジョージアの文化や歴史についてお聞かせください。
監督ジョージアの歴史は3000年以上あるので、1本の映画だけで層の厚いジョージア文化を伝えるのは難しいかもしれません。
例を挙げるなら、映画のなかにも出てくるショタ・ルスタヴェリというジョージアを代表する大詩人。14世紀頃に始まる西洋のルネサンスのアイディアも、その数百年前に先取りしていたと言われているほどなんですよ。