2022年4月24日 09:00
「ジュエリーのような輝き…」館長が絶賛! 今しか見られない奇跡のアート
病気のあと、画風ががらりと変わり、メルヘン的でノスタルジックな作品を描くようになります。
特に注目していただきたいのが、細密描写と色彩。花や雑草の穂のところに紫やオレンジなど、ちょっとした輝く色を差しているのです。それが、見ているとふっと浮き出てきて、大変に美しく、ジュエリーのような輝きを持っています。この色彩の美しさが見どころのひとつです。
また、彼の作品には、エノコログサ(猫じゃらし)をはじめ、白い犬や蛇行した道、トンネルなど頻繁に出てくるモチーフがあります。特に、エノコログサは生命力の強さを感じられるモチーフ。藤田自身は、モチーフについて多くを語っていませんが、彼の人生や考え方を重ね合わせ、誤解でもいいので自分でいろいろ解釈してみるのもアートのひとつの楽しみ方だと思います。
藤田は右手で20年、左手で20年描きました。50歳を境に、新しい画家の人生を歩み出したのです。
破産や妻の病気を乗り越えて…
ーー続いては、アンドレ・ボーシャンの経歴について。
フランス中部で生まれたボーシャンは、苗木職人として自分の農園をもち、結婚して順調に暮らしていました。その後、第一次世界大戦が勃発。