2022年6月23日 19:30
母を自宅で介護する14歳…「歌に魅せられた貧しい少年」の輝く成長を描く【仏映画】
文化や芸術のない社会は、この世の終わり
―日本は、芸術に対する支援が足りてないと言われているところがありますが、監督はなぜ人に芸術が必要なのだと思いますか?
監督僕は「芸術がない社会は、社会ではない」と思っています。なぜなら、世の中に芸術がなければ、人間は希望もユーモアも喜びも感じられないロボットのような生き物になってしまうからです。
実際、これまでの独裁者たちは文化や芸術を禁止することによって、世の中をとてもつまらないものにし、人々が夢を持たないようにしたこともありましたよね。そういったこともあり、僕は文化や芸術のない社会は、“この世の終わり”だと思っています。
―本作の4兄弟は貧困を抱えるだけでなく、若くして母親の介護問題にも直面しています。彼らをヤングケアラーとして描こうと思ったきっかけについても、お聞かせください。
監督彼らの貧しさを描くうえで、まだ子どもなのに大人と同じような責任感を負わされて生きなければいけないというのを見せたかったので、そのような設定にしました。そういう意味では重要なポイントですが、この映画におけるテーマにしようと考えたわけではありません。
フランスでは、まだ社会問題として取り上げられるほど話題になっているわけではないというのが現状です。