2022年7月4日 20:50
藤田貴大「再演はしたいけどしたくない…」 沖縄戦を描く、舞台『cocoon』3度目の上演
しかもこれまで上演していたのは、客席数300程度の小空間だったが、800席以上の大きな劇場へと場を移す。単に規模が大きくなるだけでなく、演出も演技も、作品から発せられる熱量も、広い劇場空間の隅にまで届けなくてはならない。
「ツアーで訪れる劇場の中には1200人というキャパシティのところもあります。ただ僕も、ここまでの間にいろんな作品を手がけてきて、大きな劇場も何度も経験させていただいてきて、自分の中ではそこまで劇場の大きさをマイナス要素として感じなくなっています。もちろん小さな空間で生み出される濃密さとか迫力というものはあります。でも、大きな空間には大きな空間にしかない音の響きというのもあって、暗闇の中からボンッて音が聞こえてきたときの音の響きとか、これまでとはまた違う印象を受けるはず。もちろん舞台面の使い方も新しくするつもりで、今回は映像も使いながら、スクリーンと舞台面が一体化するような映し方を考えていますし、スモークを使ったり、いろんなことに挑戦してみようと思っています」
戦争の話だというと、どうしても薄暗い灰色のイメージがつきまとう。しかし思いを巡らせれば、沖縄戦とは、南国の太陽の下、コバルトブルーの美しい海を背に繰り広げられていたもの。