くらし情報『『パパイヤ・ママイヤ』で描く、作者の「こうあってほしかった理想の青春」』

2022年7月11日 20:10

『パパイヤ・ママイヤ』で描く、作者の「こうあってほしかった理想の青春」

そうした感動を話にしたい、という気持ちがありました。こうあってほしかった理想の青春でもあります」

二人の少女の人物像については、事前に作り込まなかった。

「パパイヤ、ママイヤはウルフルズの曲名からの連想です(笑)。どういう環境で育ったかよりも、二人がいて、そこで奇跡が起きるのを待ちたい、という気持ちでした」

彼女たちの微妙な家庭環境は少しずつ明かされるが、卑下したり卑屈になったりしていない様子。会話は時に噛み合わず、キツイことも言いあうが、それでも言葉を重ねていく。そうしたカラリとした姿が印象的だ。二人は黄色いゴミを拾い集めるホームレスとも出会うが、この黄色がなんとも鮮烈に読み手の心に映るはず。

「作中に出てくる黄色いサンダルやおもちゃなどは、実際に干潟に落ちていたものです。
黄色は退色しやすいんですよね。リアルタイムの情動もやがて薄れて感動した感覚だけが残りますが、それを象徴する色でもある。でも、ただ、その記憶は別の形で残って、自分を励ますものにもなりますよね。それこそ、退色しても光として残るというか」
思えばデビュー作「十七八より」でもこの年代を描いていた乗代さん。

「自分は17歳の時に“人間関係はもういいや”と思ったんです。

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