くらし情報『『パパイヤ・ママイヤ』で描く、作者の「こうあってほしかった理想の青春」』

2022年7月11日 20:10

『パパイヤ・ママイヤ』で描く、作者の「こうあってほしかった理想の青春」

一人でいることに力を注ぎつつ、後ろ指をさされると面倒なので突っぱねることはしない、という方向性を決めた時期なので、高校2年生という年頃に思い入れがあるかもしれません」

心に残る出会いがあったのも高校2年生の頃だったという。

「通学の時にバスに乗るのが嫌で、学校の最寄り駅のひとつ手前の駅から自転車に乗って通っていたんです。そうしたら自転車が盗まれちゃって。いつもそばに駐輪していた人が“どうしたの?”と声をかけてきて、説明したら“今から会社に行くから自分の自転車を使っていいよ”と、鍵の番号を教えてくれたんです。それから数か月、その人が乗ってきた自転車に乗って学校に行き、下校の際に同じ場所に自転車を戻して帰っていました。その人と会ったのは最初の時だけでした。それ以来、自分も出歩く先でその人みたいにしたい、という気持ちになるんです」

ほんのひとときの触れ合いが、そこからの人生の大きな力になる。夏の光のなかで起きた、そんな奇跡を体感できる一冊だ。


乗代雄介『パパイヤ・ママイヤ』SNSで知り合ったパパイヤとママイヤは、夏の間、木更津の小櫃川河口干潟で待ち合わせをする。流木が折り重なり、人のいない広い景色のなか距離を縮めていく二人はやがて小さな冒険を試みる。

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