2022年8月4日 19:00
『カルテット』『大豆田とわ子』を手がける敏腕Pが明かす、面白いドラマの作り方
佐野さんが何を描きたいかというと、それは、「単純に言語化できない問題意識や、ひと言では表せない複雑な感情」なのだという。
「連続ドラマは、10話とかある程度長い時間をかけられるからこそ、そういう繊細な部分も描き切れると思うんです。単純なメッセージを伝える、というようなことはあまり考えたことがありません」
ただ繊細ゆえに、視聴者に気づいてもらえないこともあるのでは。
「どう受け取られるかは自由なので、たとえ気づいてもらえなくても、残念に思うことはありません。でも一つだけ、これを達成できたら御の字という目標があって、それは“一人でいいから、何か届いた”と実感できること。例えば『大豆田とわ子』は、生きづらそうにしている友人が、面白がってくれたらいいなと思って作ったし、『17才の帝国』は、若い人に政治に興味を持ってほしいと思って作ったんですけど、私の友人の小学2年生の子どもが、これを見て、『総理大臣って何をする人?』とか聞いてくるようになったと。もうそれだけで、このドラマを作った意味があると思います」
そんな佐野さんが新たに取り組んでいるのは、実際の冤罪事件をモチーフにした社会派ドラマ『エルピス』。