2022年12月28日 22:00
教師殺害を告白した元同級生と京都へ逃避行…19歳の心の揺れを濃密に描く物語
と同時に、読者は、厳しい母親の言いなりになってきた光も、なにか秘密を抱えていると感じるはず。
「光は、自分の人生は親に決められている、だから自分のせいじゃない、と思っている。本当は選べるのに、選ぶことを放棄している子というイメージでした。琴葉は、人を疑う気持ちと人を信じたい気持ちの間で揺れ動いているところがあります。他人から“いい子だね”と言われると、舐められていると感じる子のイメージでした。ふたりとも欠点はあるけれど、それも含めて人間らしくてチャーミングだなと思っています」
優等生だった光と、問題児だった琴葉。ふたりの共通点は、小学生時代、子供らしく振る舞うのが苦手だったことと、中山が苦手だったこと。回想シーンで描かれる、独善的な中山の振る舞いが実にもう嫌な感じ!
「小学校時代に人気者だった先生でも、大人になって振り返ると、“先生のあの言動って良かったのかな”と思ったりしますよね。
それに、悪い人ではないけれど自分とは合わなかった先生もいる。そういうことが書きたいなと考えているうちに、中山先生の“嫌な人エピソード”がどんどん浮かんできて。ノリノリで書きました(笑)」
現在パートも過去パートも、とにかく会話がリアル。