滝藤賢一「僕がドラァグクイーンのメイクをしている様子を見て、小1の娘は目がハートに」
手慣れた仕草でスカーフを結びあげ、スカーフ同様ビンテージのジャケットを羽織ると、仕上げに、黒いレザーのキャスケットを頭にのせた。時折カメラに目線を向けながら、路地裏を颯爽と歩く滝藤賢一さん。素材がいいものほど日常で長く活躍し、使い込むほど磨かれる。そんな古着に持つイメージは、滝藤さんにも当てはまるのかもしれない。特にエキセントリックな役柄や芝居に目を惹きつけられる俳優が、新たに演じたのは、ドラァグクイーン(以下、クイーン)だ。
――映画『ひみつのなっちゃん。』では、クイーンを演じられていますが、長編映画は初主演だそうですね。意外でした。
滝藤賢一(以下、滝藤):これまで100本近く出演させてもらっているからか「まだ主演してなかったの?」とよく言われますが、僕もそんな感じです(笑)。
――クイーン特有の、強くて派手なメイクや衣装のシーンが少なく、素の姿での女性のお芝居は、素晴らしかったです。装いがないぶん、難しさもあったのでしょうか。
滝藤:LGBTQ+にはいろんなタイプがいると伺いました。僕が演じたバージンは、監督と話し合って、常に女性でいることを選択したんです。だから全身の毛を剃ったりして。