わいせつ画と批判され…才能に恵まれすぎた画家、シーレの刺激的な展覧会
本展を担当された東京都美術館学芸員の小林明子さんによると、風景画にもシーレの内面や感情、そのときの心象が映し出され、象徴的な風景になっているそうです。
わいせつ画と批判され…
エゴン・シーレ《悲しみの女》1912年レオポルド美術館蔵
若く才能あふれる画家は、性をテーマにした表現にも挑み、また制作スタイルも過激でした。先鋭的すぎて、批判されることもしばしば。戸外でヌードモデルを描き大問題となって街を追い出されたり、わいせつ画を制作して公にしたことで刑務所に留置されたりしたこともあります。
また私生活では、当時16歳だった女性ワリーと同棲。4年も一緒に暮らし、彼女の姿を描いていました。ワリーは、刑務所にいたシーレのことも献身的に支えていました。
本展で見られる《悲しみの女》もワリーがモデルです。
献身的な彼女を捨て…
エゴン・シーレ《縞模様のドレスを着て座るエーディト・シーレ》1915年レオポルド美術館蔵
刑務所から出た後、暮らしも困窮していたシーレですが、その後パトロンとなる支援者たちが表れて生活も一変。アトリエも構えて、創作活動も活発になります。
ところが、社会的に認められはじめたシーレは、自分の妻としてワリーはふさわしくないと判断。