日本の小説が海外でブームに!? 中村文則×村田沙耶香の対談から探る“海外翻訳”最前線
ジニーさんに河出の編集者さんが意味をお聞きしていました。
中村:日本だと基本的に書評するのは薦めたい作品だけど、海外だと信頼できる媒体で書評されたなら十分価値があると考えるらしいです。賞レースも、日本だと落ちたら触れないという感じになるのに、海外だとノミネートされるだけでもすごいという空気。僕は『悪と仮面のルール』が2014年に米国のホラー系の「ブラム・ストーカー賞」にノミネートされたんです。一次選考に通りましたという連絡が来て、「二次は読者投票です」と言うんだけど、並びの候補作にスティーヴン・キング作品とか入ってるの。読者投票なら勝てるわけない(笑)。そういえば、村田さんも米国の「シャーリー・ジャクスン賞」にノミネートされていましたね。
村田:『信仰』という作品です。
ダークな作風の短編を対象にした賞で、最終候補に残りましたと。ただ、選考会がないそうなんです。「選考委員たちが作品の話をしながら過ごしていくうちになんとなく決まります。春くらいに」と言われて、本当に驚きました。
中村:それは知らなかった(笑)。何にせよ、自分の著作が海外で翻訳されて感想を聞けたり海外の作家さんと交流できたりは刺激になるし、楽しい体験です。