唯一無二の物語を紡ぎ出す29歳。脚本家、演出家、映画監督・加藤拓也に迫る!
どのパターンにもはまらない、絶妙なところに流れていく展開に衝撃を受けます。
物語の決まった型のようなものを僕らはたくさん受け取りすぎて、予測できるようになってしまっていますね。僕としてはそういう型に面白みを感じないというか、予想がついてしまうのはすごく嫌で。物語の王道の楽しみって本来は、テンプレにのっとったストーリーに安心することではなく、どうなるかわからない展開にドキドキハラハラすることなんだと思います。
――また、セリフが普通の会話そのままに思えるくらいリアル。脚本を書くうちに、登場人物が頭の中で勝手に喋り出すのですか?
いえ、無自覚に書くということは意識的に減らしていますね。そうしてしまうと自分の中に蓄積されているものの範疇を超えられない気がして、意識的に止めながら書いています。プロットは書きますが、それを守ったり守らなかったりです。
――長編初監督の『わたし達はおとな』では撮影前に念入りにリハーサルをしたと聞きました。
今回も実際撮影する場所で2週間ほどリハーサルを重ねました。
――映像作品は舞台と違い、俳優が持ち寄った演技をその場で合わせてすぐ撮影すると聞いていたので、それは贅沢な作り方ですね。