訳者別の読み比べも楽しい! 古典文学愛好家が教える、『源氏物語』の魅力
嫉妬深くて、生き霊を飛ばす六条御息所も、最初はただただ怖い!って思ったけれど、嫉妬しちゃいけないと思うからこそ、生き霊になってしまった気持ちも今なら少しはわかる。
イザベラ:確かに。「自分は身分も教養も容姿も申し分ないはずなのに、なぜ私じゃなくてあの子を選ぶわけ?なんで振り向いてくれないの?」って思ってしまうとか…ね。怨念で死に追いやってしまうのはどうかと思いますが(笑)。
三宅:そんな簡単なものじゃないんですよね、恋愛は(笑)。
イザベラ:恋愛はケミストリーだから、いくら高スペックな女性でも、必ずしも恋が上手くいくとは限らない。作者の紫式部は当時からそういうことをわかったうえで、確信的に書いていたんですよね。
三宅:最愛の妻とは子供ができず、若い愛人にサクッとできてしまう話もすごいなぁと思いました。
現代の話だと言ってもまったく違和感ないし、なかなか深いですよね。
読み比べも楽しい。人気作家が手がける『源氏物語』
『源氏物語』1角田光代 訳
2017年に満を持して出版された、最も新しい角田訳。原文に忠実ながらも非常に読みやすく、昔も今もつながる感情を重視し、小説としての面白さが存分に堪能できる。