訳者別の読み比べも楽しい! 古典文学愛好家が教える、『源氏物語』の魅力
この秋、待望の文庫化。10/6発売。¥880/河出文庫
『全訳 源氏物語 新装版』1与謝野晶子 訳
少女の頃から『源氏物語』を愛読してきた与謝野晶子が晩年に書いた54帖全訳の決定版。与謝野版の出版により、一般にも広く普及されるようになった。その現代語訳は格調高い筆致が特徴。
¥836/角川文庫
『潤一郎訳 源氏物語』1谷崎潤一郎 訳
文豪・谷崎潤一郎による現代語訳は、京都の女語りを意識した流麗な雅文体。原文の雰囲気を生かして、継ぎ目のない長文で主語も入らないため、初めて『源氏物語』を読んでみようと思う読者にはやや難しい。¥1,100/中公文庫
『新源氏物語』上田辺聖子 著
もともと『週刊朝日』に連載されていたもので、男性にもわかりやすい物語を目指して、原書を大幅にリライト。田辺の創作が少し加えられているうえ、会話を多用しているので現代小説のように読める。¥990/新潮文庫
(写真・左)三宅香帆さん書評家。1994年生まれ、高知県出身。京都大学大学院修士課程修了。著書に『人生を狂わす名著50』『文芸オタクの私が教える バズる文章教室』『推しの素晴らしさを語りたいのに「やばい!」しかでてこない』ほか多数。