「日本映画が“映画とは何か”を思い出させてくれた」フランスの鬼才が語る日本映画の魅力
という意味と、上に向かっているハリケーンと違って下に向かっているところも意識してつけました。フランス語だと「Tourbillon」という単語もありますが、「VORTEX」もほうがより巻き込まれるという意味合いが強いですし、ドラマティックで音もいい。しかも、自分の過去作品である『アレックス』や『CLIMAX クライマックス』との並びもよく、インターナショナルであるというのも理由です。
―それでは最後に、日本の観客へ向けてメッセージをお願いします。
監督本作は、僕にとってはすべての観客に向けた初めての長編映画です。描かれているのは、多くの人が経験している、または今後経験するであろう普遍的なシチュエーションなので、もっともつらい映画であるとも言われています。
でも、僕は人々を怖がらせたり、興奮させたり、笑わせたりする映画を作ってきたので、今回は思いっきり泣けるような映画を目指したいと思って作りました。涙はまぶたの膜に触れると鎮静効果があり、この世でもっとも快感をもたらす物質のひとつですからね。
なので、映画が終わったときに、全員が泣いてくれることを期待しています。もし泣かない人がいたら、それは本作が失敗作だということになるので…ぜひとも泣いてください!
人生に潜む暴力なき恐怖をあぶり出す
静かに破滅へと向かっていく人間の姿をリアルに映し出し、観る者に「死」