「日本映画が“映画とは何か”を思い出させてくれた」フランスの鬼才が語る日本映画の魅力
撮影では30分くらいカメラを回しっぱなしにすることが多く、そのなかから使える7~8分くらいを抜き出すという形を取っています。
―俳優たちの即興に感銘を受けたり、驚かされたりしたことはありましたか?
監督それはたくさんありましたね。なかでも印象に残っている場面を例に挙げるとすれば、孫を演じた子役がテーブルにおもちゃを叩きつける様子を見ていたフランソワーズが突然泣き始めるシーン。事前に決めていたわけではなく、本人も無意識のうちに自然と涙が出てしまったことがありました。
そのほかにも、予定していなかったことや思いもしないようなことが撮影中はいっぱいあったので、撮影すべてがアドリブみたいな感じだったなと。あるときは撮影場所の近くにあった金物屋さんにたまたま入って、急遽撮影させてもらったこともありましたが、その映像も本編には使われています。本当に、今回は予期せぬことばかりが起きた現場でした。
観た人が泣けるような映画を目指して作った
―タイトルの『VORTEX ヴォルテックス』には「渦」という意味がありますが、どういった思いを込めてつけられたのでしょうか。
監督「一度巻き込まれたら奈落の底まで落ちていく」