「元恋人の2人を再会させることに怖さもあった」トラン・アン・ユン監督が語る名優たちの共演秘話
今回は、料理にかける熱い思いや撮影時の忘れられないエピソード、そして日本の観客に伝えたいことなどについて、語っていただきました。
―6年前にananwebで取材させていただいた際、「フランス料理についての作品を考えている」とおっしゃっていて、それを実現されたわけですが、料理を題材にしたいと思ったきっかけは何ですか?
監督料理に関してのプロジェクトというのは、アメリカや日本をはじめさまざまな国を舞台にした企画や食いしん坊で知られる小説家ジム・モリソンの映画など、いくつか話はありました。そのなかで、着地したのが本作でしたが、僕が一番やりたかったのは芸術を映像化すること。僕にとって料理というのは、具体性のある芸術だと思っています。
肉や野菜などを使って素晴らしい一品を完成させるのが料理ですが、それこそがまさにアートの縮図ではないかなと。そう感じていたこともあり、今回は料理という芸術に焦点を当てることにしました。フランス料理に決まったのは偶然なので、いまでも日本やほかの国の料理映画を撮りたい気持ちはあります。
正しいものより、ふさわしいものを探すのが大事
―以前の取材では、「もしプロジェクトが実現したら、死ぬまで料理のシリーズしか撮らないかもしれない」