「元恋人の2人を再会させることに怖さもあった」トラン・アン・ユン監督が語る名優たちの共演秘話
ともお話されていました。ということは、今後も料理をテーマにされるのでしょうか。
監督この作品を終えた直後ということもあり、正直に言うといまは違うことをしたいと考えています。だから、映画監督の言うことなんて信じてはいけませんよ(笑)。監督というのは、そのときのフィーリングと合ったり、自分の感性が動くものを見つけたりすると、すぐそっちのほうに向かってしまうものですからね。
―気を付けます(笑)。また、料理については、ミシュラン三つ星シェフのピエール・ガニェールが完全監修ということですが、ご一緒されてみていかがでしたか?
監督この作品では、料理の準備がとにかく大変だったので、彼の存在は本当に必要不可欠でした。彼はシナリオに書かれていたすべての料理を再現してくれましたし、俳優たちは調理をする際の手やカラダの動かし方を彼から学んでいます。
そして、「自分が一番ふさわしいと思うものを見つけてさえいれば、それがおいしいものに繋がっている」という彼の考え方は、僕と呼応していると感じました。僕自身も「正しいものを探しに行く」というよりも、「ここにふさわしいものを見つければ、おのずと美しいものができあがる」