恋心は今も昔も一緒!? 『和泉式部日記』の和歌から読み解く“平安女子の恋のリアル”
千年前の恋愛をひもとく…恋の和歌で、平安女子考察。
和歌には平安女子の恋のリアルが詰まっている。
794年の平安京への遷都から、約400年続いた平安時代。戦のない平和な時代として知られるが、宮中の女性にとっては芸術方面で活躍できる時代でもあったという。
「当時、宮中には天皇の后候補が複数暮らしていて、その周りには女房と呼ばれる世話役の女性がたくさんいました。女房には和歌、漢詩、音楽といった芸術方面に秀でた人物が選ばれ、彼女たちが優れているほど、后候補の格が上がるとされていたのです」と話すのは、津田塾大学学芸学部多文化・国際協力学科教授の木村朗子先生。そんななか頭角を現したのが『枕草子』の作者である清少納言や、『和泉式部日記』の作者の和泉式部、『源氏物語』の作者の紫式部。
「清少納言は一条天皇の后・定子に仕えた女房で、和泉式部と紫式部は定子亡き後、一条天皇の后・彰子に仕えた女房です。
彼女たちのように文才のある女房は、主人の和歌を代筆することもありました。和歌の多くは恋愛の場面でやり取りされ、どれだけ上手い歌であるかが、相手を惹きつけるカギとなったからです」
女房は和歌だけでなく恋愛にまつわる散文も書くようになり、作中には恋の和歌が数多く登場する。