負の歴史も… ファッションや芸術の発信地“吉原”の美が集まる展覧会
地下二階にある最初の展示室では「吉原入門」というテーマで、吉原の町を描いた作品や、喜多川歌麿の大判錦絵などが並んでいます。
この部屋で特に注目したいのは、浮世絵界の有名な流派「歌川派」の祖、歌川豊春の《新吉原春景図屏風》。
夜桜見物でにぎわう町の景色をテーマにした肉筆画の大作です。吉原ではさまざまな年中行事が行われ、例えば桜の季節になると、本物の桜の木を植木屋が運び込み、客が遊女たちと一緒に花見を楽しめるように演出されました。この作品には、遊女や客など町を行きかう人々が桜を楽しんでいる様子が生き生きと描かれています。
花魁が泣いて怒った作品とは…
展示風景より、中央に見えるのが高橋由一《花魁》[重要文化財]明治5年(1872)東京藝術大学所蔵
地下二階の第二会場では、錦絵美人画や蔦屋重三郎の出版物、明治期の絵画などが展示されています。
ここでの見どころは、日本初の洋画家として知られる高橋由一の作品《花魁》。
本展を企画した東京藝術大学大学美術館教授の古田亮先生は、この作品について次のように解説しています。
古田先生本作品は、実際にいた遊女を油絵で描いたものです。それまで遊女は、浮世絵の美人画として描かれていました。