光石研「僕の仕事は、現場で知恵を出し合ってワンカットを成立させること」
ベテラン俳優でありながら、どこか軽やかでチャーミングな光石研さん。16歳で映画デビューしてから俳優一筋。その魅力の根源を探ります。
スタジオの前にクラシックなベンツが停まっていた。聞けば光石研さんがご自身で乗ってこられたのだという。可愛らしさの中に武骨さもあり、おしゃれで品がいいけど、どこかやんちゃな親しみやすさも感じる、まさにご本人の印象そのまま。上梓したばかりのエッセイ『リバーサイドボーイズ』にも、そんな魅力的な人柄が滲み出る。
――エッセイが軽妙で読みやすく、オチもあり面白かったです。
いやいや、文章を書くのは一番苦手かもしれないです。雑誌を読んだりするのは好きですし、イラストを落書きしたりするのも好きなんですけれど、文学的なアプローチはしたことがなくて。
――もともと西日本新聞で連載していたエッセイですが、連載をお引き受けになられたのは…?
お話をいただいたのが、コロナ禍の最初の年だったんです。3月の終わり頃に次々と撮影が止まって、何していいかわからないってなってたときだったから、じゃあやらせてくださいって。そこからコロナ期間中は、九州の友だちに「あの店、なんて名前だっけ?」