“子供ど真ん中”の社会の実現に向けて…「共同親権」の課題を考える
意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「共同親権」です。
子供の利益になっているのか?熟考が必要。
離婚後も父母の双方が子供の親権を持つ「共同親権」の導入を含んだ、民法改正案が成立しました。1898年の明治民法施行以来の大きな変更になります。これまでは離婚後は単独親権が前提でした。最終的に母親が親権を得ることが圧倒的に多く、父親が子供に会わせてもらえないなどの問題が起きており、改正が求められていました。今後は、単独親権、共同親権のどちらかを選べ、合意できない場合や裁判離婚は家庭裁判所が判断します。
親権とは、子供の利益のために監護や教育、財産管理などをする権利であり、義務です。共同親権を選択すると、引っ越しや進学、手術を受けさせるかどうかなどを別れた夫婦で話し合わなければいけません。しかし、離婚理由が家庭内暴力の場合もあります。暴力から逃げるために住む場所も隠しているのに、暴力を振るう相手と連絡を取らなくてはならなくなるリスクもあり、法案に反対する声も上がっていました。
その家庭にとって共同親権が妥当なのかを裁定するのは家庭裁判所ですが、家裁の調停員も、家庭の実態に踏み込んで審査できる体制にありません。