クレイジーケンバンド・横山剣「いつも最後のアルバムと思いながら作ってますよ」
子ども向けの歌も好きでしたし、歌謡曲も演歌も民謡も聴いていました。だからジャンルはまったく気にせず、心に響くものを聴いていて。それを決定的にしたのは、小学校5年生のときにやった中古レコードの実演販売です。11歳のときにノンジャンルで売ってたので、そのときもさまざまなジャンルの曲を聴くきっかけになりました。
実演販売は、レコードをかけながら、たとえ知らない曲でもなんとなく曲を説明しながら(映画『男はつらいよ』の)寅さんスタイルでやるんです。1971年からやっていて、いまも実演販売をやっていますが、ルーツはそこにあるんですね。さらに「イイネ!」という言葉は、もっと前の1960年代から言っています。
――そんなに前からだったんですね。
その頃は、父親と別れて寂しくしていたときに、伯父が父親がわりになってくれていて。何がいいも悪いもなく、「いいねえ」が伯父の口ぐせだったんです。たとえおばあちゃんの葬式のときでも、久しぶりに会ったら「いいねえ」と。「何言ってるの、今日はお葬式だよ」と言っても関係なく。よくないときも、泣いていても、「いいねえ」と伯父に言われるとポジティブになれる。「まあいいか」