藤野可織「女同士が仲良くする物語を自分でも書きたい」 女バディ小説に込めた思い
作者である藤野さんが、ストッパーをかけずに思い切り好きなことをやらせてあげた女バディが、文字通り跋扈するこの物語。
「女バディを書く楽しさは、“女だってこういうことができるし、やっていい”ということを書けることかもしれません。女でも、不道徳で無責任で、いろいろ最低でも全然いいな、と思いながら、すごく楽しく書きました」
今の社会では、女性は仕事でも友情でも、ライフステージによって断絶することが少なくない。でも、本当はそこを諦めたくないし、未来の女性たちには諦めないで生きてほしい。この物語にはそんな希望も添えられている。
「社会の思惑通りに、結婚をして子どもを産んで…と生きる中で、仕事や友情や、それからなによりもそれまでの自分自身と、どうしても引き裂かれてしまう部分って、あると思います。でもその、“どうしても引き裂かれてしまう”ものや関係性は、本来は他者や社会から引き裂かれる必要はなく、繋がったまま生きていける、ということを、きっとみんな知りたいし、そうやって生きている人を見たいのではないか、と思うんです。私自身がまさにそうで、妻や母の“役割としての自分”が私の本質かと言われると、決してそうではない。