60年以上に及ぶ表現の集大成! 記憶を巡る、田名網敬一の大規模回顧展
ポップなのに狂気や死の匂いを感じさせたり、一見怖そうなのにかわいさが潜んでいたり……。田名網敬一さんの作品の魅力を、ひとことで言い表すのは難しい。国立新美術館で開催中の「田名網敬一記憶の冒険」のキュレーター・小野寺奈津さんは、本展のキーワードである“記憶”について次のように説明する。
60年以上に及ぶ表現の集大成!記憶を巡る壮大な旅の軌跡。
《気配》2022年デジタルカンヴァスプリント、雑誌の切り抜き、インク、アクリル絵具、クリスタルガラス/カンヴァス194×130×4cm©Keiichi Tanaami/Courtesy of NANZUKA
「田名網さんは1936年生まれで、子どもの頃の戦争体験の影響が最近の作品にまで及んでいます。同時に、戦後アメリカから入ってきたコミックやB級映画、アニメーションなど身の回りにあったものが作品の主題として取り込まれています。そういった経験と記憶が、姿形を変えて表れるのが特徴といえるでしょう」
デザイナーとして活動を始めた’60年代の作品から新作まで集結し、その形態もシルクスクリーン、雑誌の切り抜きのコラージュ、アクリル絵の具、16mmフィルム、立体作品など実に多彩。