画家ボナールと妻が過ごした波乱の半生…フランス映画界の名優と名匠が挑んだ破天荒な愛
今回、出演を決めたのは、マルタン・プロヴォ監督がボナールや絵画をテーマに作品を撮ることに興味を持っていたからです。
というのも、僕は普段から作品のテーマよりも、「誰がその作品を撮るのか」ということを重視するタイプの俳優なので。脚本を読んだときには、マルトの視点を通した映画でありつつ、ふたりの話を描いているのが魅力的だなと感じました。
夫婦の姿がとても繊細で感動的に描かれていると感じた
―実際、プロヴォ監督の演出はいかがでしたか?
ヴァンサンさんマルトは嘘をつくこともあるようなミステリアスな女性ですが、ボナール作品の多くに出ているほど存在感のある人なので、そういった“創作の衝動”みたいなものがうまく映画に取り込まれていると感じました。
いろんなドラマを乗り越えて愛し合い、年老いていく夫婦の姿がとても繊細で感動的に描かれていると思います。プロヴォ監督の撮影方法もとても気に入りました。
―監督から見たヴァンサンさんの魅力についても、お聞かせください。
監督彼は詩的な素質を生まれつき持ち、子どものようなイノセントな部分も持ち続けている人。
そのいっぽうで、脆弱さも内に秘めているので、そういうところもいいなと感じています。