画家ボナールと妻が過ごした波乱の半生…フランス映画界の名優と名匠が挑んだ破天荒な愛
普段の僕はとても穏やかなんですが、現場では結構テキパキと指示を出すタイプの監督です。でも、このやり方だとヴァンサンの演技方法には合わないと理解したので、今回は彼の世界観に僕が合わせていく形で進めていきました。そのかいあって老年期のボナールを演じた際には、期待以上のものを彼が生み出してくれています。それは作品にとっても、僕にとってもプレゼントのような出来事でした。
プロヴォ監督がボナールを具現化してくれた
―確かに、時間の経過とともに異なる姿を見せていて素晴らしかったですが、これまでの作品でも毎回雰囲気が違うのでヴァンサンさんにはいつも驚かされています。ご自身でも、見せ方などに関して意識されていることはあるのでしょうか。
ヴァンサンさん僕は基本的に、監督ありきで作品に出ているので、それぞれの監督が僕をどういうふうに見ているかに自分を合わせていることが多いですね。僕自身としては冒険しているかのような気分ですが、そんなふうに役を演じています。
ただ、ボナールに関しては自分自身を埋没させなければいけない難しさはあったのかなと。そういうなかでプロヴォ監督が具現化してくれたと感じています。