ゴッホのジャポニスムに迫る「ゴッホ展 巡りゆく日本の夢」札幌、東京、京都の3都市で開催
©The Henry and Rose Pearlman Collection / Art Resource, NY 札幌、東京の2会場のみ展示
そんな理想を実現すべく、ゴーギャンと「黄色い家」ではじめた共同生活は、1888年12月、有名な「耳切り事件」によって破綻します。日本を夢見た、南仏での1年足らずの生活期間は、ファン・ゴッホがもっとも想像力に満ち、もっとも幸福な時期だったのでしょう。
●サン・レミ、オーヴェールー遠ざかる日本の夢
フィンセント・ファン・ゴッホ《蝶とけし》1889年、油彩・カンヴァス、ファン・ゴッホ美術館(フィンセント・ファン・ゴッホ財団)蔵
©Van Gogh Museum, Amsterdam (Vincent van Gogh Foundation)
「耳切り事件」のあともたびたび精神病の発作に襲われたファン・ゴッホが日本について語ることは、ほとんどなくなりました。しかし、発作の合間に描きつづけた作品のなかには、浮世絵の影響を感じさせるものもありました。
フィンセント・ファン・ゴッホ《渓谷(レ・ペイルレ)》1889年、油彩・カンヴァス、クレラー=ミュラー美術館蔵
© Kröller-Müller Museum,Otterlo
1890年、サン・レミの療養所を出たファン・ゴッホは、パリで「現実」