「私は“即興の魔力”に取り憑かれた」。社会的弱者が分断された日本を音楽で変える「即興楽団UDje( )」を率いるナカガワ エリ【後編】
自分の働いている施設しか知らない人が多いから。だからこそ分野を横断するようなネットワークづくりが大事だと思うんです。まだどうなるかはわからないんだけど、福祉に関わる人同士が会う場を作り、今後何か新しいことができたらいいなと思ってます。うじゃの活動には人と人とを繋ぐっていう役割もあって個々に違う価値観が出会い、何かしらの作用を起こす場、そういうところからおもしろい変化が起こっていけばいいと思います。固定概念に捕らわれずに、そこに当たり前のようにあった壁を取っ払ってしまうエリさんのパワー。彼女のような発想が現代の福祉の世界に新しい旋風を巻き起こしてくれるのかもしれない。
弟が与えてくれた彼女の生きる道
(参加型ステージ〜集合写真_釜ヶ崎の夏祭り/大阪Photo by淺川敏)
2009年に始まったうじゃの活動も今年で8年目。直感を信じて行動するというエリさんは、自分の与えられた環境を振り返ってこう語る。
うじゃは私の中で、家族のつなぎ直しになったんです。今でも問題はありますが、捉え方が変わりました。母との付き合い方も変わりました。私が背負っているものも、ひとつずつ降ろす作業ができてきたなって。