くらし情報『【シネマモード】『ハウスメイド』イム・サンス監督の“囚われない”映画づくり』

【シネマモード】『ハウスメイド』イム・サンス監督の“囚われない”映画づくり

決断前の複雑な心境と、気持ちを変えていった要素について、隠すことなく口にしていくイム監督。「キム・ギヨン監督の『下女』は歴史に残る名作ですし、非常に熱狂的なファンの方も多い作品ですが、実は私自身はそこまで熱狂的なファンというわけではなかったからです。そんな私が引き受けていいものなのかと不安に思いました。さらに、これだけ称えられている作品をリメイクするとなると制限されることも多くなってくるでしょう。たくさん越えなければならないハードルがあることで葛藤も多かったのです。でも、脚本と演出について自由にやらせてくださるというお話をいただけたこと、さらには、“階級問題”というテーマをいまの時代に真っ向から取り扱うことは商業映画監督にはなかなかできないことであり、この作品ではそれができると思ったので、この作品の監督を引き受けました。目指したことも、この作品を通して“階級問題”を描くということでした」。

本作に登場する特権階級の人々は、人間の欲望を象徴する存在として、物語に強い緊張感を与えていく。
階級問題を通して見えてくる社会の不条理は、生々しくて恐ろしい。
「過去の身分制度は終わり、私たちは誰もが平等な民主主義の時代を生きていると思ってしまっていますが、世界のどこかしらで、財産や職業、出身、国籍、皮膚の色等々を理由に未だ侮辱的な生活を強いられている人がいるのが現実です。

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