【シネマモード】『ハウスメイド』イム・サンス監督の“囚われない”映画づくり
一部の傲慢な特権(上流)階級の人々が遠慮なく侮辱をばら撒いていて、その侮辱を受け止めて苦しんでいる人々が世の中に散在しているのがいまの時代だと思います。そういうことを知ってもらうためにも、上流階級の人々を題材として取り上げました」。
そう話す監督がこの物語を練り上げていく上で最もこだわったのは、“サスペンス”というスタイルだったそう。
「制限された空間でたった6人のキャラクターと彼らのシンプルな関係性だけを用いて、どのように観客を興奮させ、映画に没頭させることができるか。そこにこだわりましたね。メイドは家主とこっそり関係を交わし、それが自分だけの秘密だと考えていましたが、メイドが気づかないうちに女主人の知るところとなり、女主人は怒りを感じる。このとき、観客はサスペンスというものを感じ始めます。メイドは一家に背信を感じて関係を終わらせますが、女主人はある陰謀を画策し始める。
観客のサスペンスは増幅されます。陰謀によりメイドは恐ろしい目に遭う…。サスペンスは創り上げていくというより、様々な要素を絡み合わせていくことで生まれるものなので、面白さはそこにあると言えるでしょう」。
陰謀に巻き込まれる純真なメイド・ウニを演じているのが、国内外で高い評価を得ている名女優チョン・ドヨン。