『一命』市川海老蔵×三池崇史監督 映画×歌舞伎の才が生み出した「侍」
満島さんは女優独特というか、すごく入り込むんです。普通、そういう女優さんは近寄りがたい空気を持っていますが、彼女は意外と大丈夫。器量が大きいんでしょうね。入り込む人は前日や1週間前から入ってるからそういう壁があるし、ベールが掛かっているものだけど、彼女はそれをふとした瞬間に解いて、人とコミュニケーションを取ったり、場の空気を考える余裕を持ってる。若いのにすごいなと思います」。
劇中、満島さん演じる娘の美穂、瑛太さん扮する娘婿の求女を温かく見守り、2人の間に生まれた孫を深く愛する半四郎。海老蔵さん自身が一児の父親となったのは映画の完成後だが、父親を演じることについて、こんな話を語ってくれた。
「(孫役の赤ちゃんを)抱くと泣いちゃうんですよね(苦笑)。
でも本当のお母さんが抱くと泣き止む。でも、いまになって考えると、自分の子も自分が抱くと泣き止むんですよ。(半四郎は親ではなく)おじいちゃんだから、泣いてもいいのかな、不正解ではなかったなと思っています(笑)。実際に父親じゃないのに父親を演じることについてはよく聞かれます。歌舞伎で『寺子屋』という話があって、主君のために自分の子を身代りに殺して差し出すんですが、先輩たちは『自分に子供がいないとできない。