くらし情報『【シネマモード】傷ついても探求する、女の人生 人生に迷うあなたに贈る『サラの鍵』』

【シネマモード】傷ついても探求する、女の人生 人生に迷うあなたに贈る『サラの鍵』

とジュリアを拒む。劇中に登場する男たちは、隠された事実があることに気づいても、それに気づかなかったふりをしたがるのだ(もしくはそうしてきたのだ)。彼らが恐れているのは、知ることで傷つくこと。なんとも繊細で、無邪気で居続けたい生き物なのだろう。だが、女は違う。そこに事実があると知ったなら、傷つくとわかっていても進まずにはいられない。真実を知る代償がいくら大きくても、曖昧さの上に生きるよりはましだと思う生き物なのだ。もちろん、男性にもそんな考えを持つ人もいるだろう。
その逆もまた然り。だが、女は感情的な生き物で、男は理論的な生き物と言われるような事態は、日々そこかしこで展開される。まさにこの作品の中でも。

ひとつ、印象的なエピソードがある。ジュリアは40歳をゆうに超えているが、待望の妊娠を果たす。だが、それを報告した時の夫の反応が芳しくない。不妊治療をしていたのはもう6年前のこと。「俺は年取った父親にはなりたくない。
もういいんだ」と言うのだ。確かに、歳をとってからの子育ては大変だというのは正論だ。だが、超高齢出産ゆえに母子ともに抱えるリスク、働き盛りの今、家族を持つことがどれほどジュリアにとっても大変なことか。

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