【シネマモード】傷ついても探求する、女の人生 人生に迷うあなたに贈る『サラの鍵』
ジュリアの決断が、どんな未来を生むのかは、ぜひ映画を観て確かめてほしいが、真実が白日の下にさらされたとき、決して陣痛だけでなく、新しい事実の誕生という喜びももたらされることだけは伝えておきたい。
ちなみに、主演のクリスティン・スコット・トーマスは、イギリス人だが演技を学ぶために19歳でパリに移住した経歴を持つ。3人の子を持つ母であり、45歳のときに18年連れ添った夫と離婚。映画を観ていただければわかるが、その生き様は、ジュリアと重なる部分が大きい。彼女自身も「ジュリアの境遇は私にとても似ていたわ」と言っている。監督も「クリスティンはジュリアと不気味なぐらい似ている」、「この映画の彼女は、現実の彼女そのものだ。カリスマ性があり、現代的で、今を生きる女性だ」と話している。映画で描かれているジュリアの生き様はもちろんのこと、そこに重なるクリスティンの人生や決断からも、岐路に立ち様々な選択のはざまで迷う女性たちは、希望の光を感じられるのではないだろうか。
この作品を観た後も、男性の中にはジュリアの行動、決断が理解できない人もいるかもしれない。でも、これが女の生き方なのだとしか言いようがない。