【シネマモード】映画に「騙される」秋 壮大な“だまし絵”『鍵泥棒のメソッド』
そこで彼は、羽振りの良さそうな男が石鹸を踏んで足を滑らし、転倒して頭を強打する場に居合わせるのです。そして、羽振りの良さそうな男が全裸のまま記憶を失ったと知るや、彼が持っていたロッカーの鍵と自分の鍵をすり替え、その男・コンドウになりすますのです。一方、桜井の持ち物を見て、自分が売れない貧乏役者・桜井だと信じようとするコンドウ。服装も、顔つきも、性格まですっかり変わってしまったコンドウは、桜井として記憶を取り戻そうと努力をするうちに、結婚相手を探し求める雑誌の編集長・香苗に出会い、心を通わせていきます。やがて、香苗から突然のプロポーズ。平凡な幸せを噛みしめていましたが、その最中、記憶が戻ってしまうのです。さて、コンドウ、桜井、香苗はどうなってしまうのか…。
途中、本物の桜井とも絡みながら、生きるために、香苗の編集部でアルバイトをしたり、劇団の稽古を見学したり、演技論を勉強したりと奮闘を続けるコンドウですが、映画にエキストラとして出演すると妙に注目されてしまう…と本物の桜井以上に、俳優として成功しそうな予感があるのがまた面白い。
売れない俳優役は堺雅人氏が演じていますが、ひょんなことから、一世一代の大芝居を打つことになったコンドウと桜井の様子がまた爆笑もの。