パトリス・ルコントが語る“映画作り” 「女優と恋に落ちるのは最低限、必要なこと」
柴崎さんはこの『暮れ逢い』における、登場人物たちの眼差しが印象的だったそうだが、監督は自身の撮影スタイルとして「ファインダーを自分でのぞき、自分でカメラを回します。映画の中の人物になった気持ちで撮っているのです。実はそういう監督はフランスでもまれらしいですが、僕はこのスタイルが好きだし、役者もまた自分の演技を監督に見られるのを好むもので、そこで“共犯関係”が出来るのです」と説明。柴崎さんは「監督の作品はいつも人物に見つめられているような気持ちになるんですが、(カメラを通じて)監督と視線が通じ合っていたんですね」と納得したようだった。
柴崎さんはまた、ほんのわずかしか出てこない登場人物も含め、本作のいずれの俳優も素晴らしいと称賛を送る。特にこれまでフランスを舞台にフランス人俳優を起用することが圧倒的に多かったが、今回の英国人俳優陣との出会いは監督も「目を瞠らされた」という。特に大富豪を演じたアラン・リックマンについて「実は、アランのことは知りませんでした。『ハリー・ポッター』を観てないので…。
だから英国人のキャスティング・ディレクターに『次はアラン・リックマンと会ってください』と言われて、知らないのに『それはいいね』と言ってたんです(笑)。