パトリス・ルコントが語る“映画作り” 「女優と恋に落ちるのは最低限、必要なこと」
さすがに会う前にiPhoneで調べて『あぁ、彼なら知ってる!』と気づいたんですが、そこからの出会いはもちろん、人間としても非常に素晴らしかったです。ここからは、僕のうぬぼれ話として聞いてほしいのですが、最初、彼はここ2年ほど大作に出続けていて疲れていたのですが、脚本を読んで気に入ってくれて『あなたの作品は好きだし出るよ』と言ってくれたんです。撮影後の打ち上げでは、僕を強く抱きしめ『忘れかけていた映画への情熱をあなたが思い起こさせてくれた』と言ってくれました。以上でうぬぼれの時間はおしまいですが(笑)、僕にとってはどんな勲章よりも嬉しい言葉でした」と落ち着いた口調の中に喜びをにじませる。
柴崎さんの「女優を選ぶときや撮影するときにどこに注目しているのか?」という問いには「ひと目ぼれです」と語り「自分が(登場人物に)恋していなくては感動する映画は撮れません。自分が撮っている女優と恋に落ちるというのは最低限の義務なのです」と言い切った。
長編映画デビューかちょうど40周年を迎えるが、最初の現場のことを覚えているかと尋ねられると「全くうまくいかなかったので、よく覚えています(苦笑)。『キツすぎてこの仕事はやっていけないかも…』と思いました」