【インタビュー】『海街diary』是枝裕和監督 4姉妹と築いた漫画と映画の幸せな関係
あえて、そうやってバランスを崩すために加えたものもあります」。
また、撮影が始まってから女優陣の芝居を見て急遽、新たなオリジナルシーンを加えたことも。
「病院で幸と二宮(風吹ジュン)がバッタリ会って『最近、胃の調子がね』というやり取りを撮っていて『また来てちょうだいよ、お店』と二宮さんが言って、幸が『懐かしいな』と言うんですが、その顔を見て、幸は律儀な子だから、実際にお店に行くだろうと思ったんです。あの店には、(自分たちを捨てた)父親の記憶もあって、おそらく意識的に行ってなかったんでしょうけど、そう言われたら行く気がした。だから、原作に4人であの店に行くというシーンはないんですが、それで描いてみると『あ、このシーンがあれば最後のシーンも成立するな』とか、描いていく中で骨格が見えてきた。そういうことは今回、意外と多かったです」。
キャスティング、オリジナルシーン、原作から削除されたシーン、世界観etc...人気漫画であればあるほど、連載が長いほどに映画化には賛否がつきまとう。是枝監督は完成した作品について「原作と映像の関係で言うとうまくいったと思う」と自信をのぞかせるが、その手応えの理由を語る上で口をついて出たのが、夏帆さん演じる三女・千佳の存在である。