【インタビュー】梶裕貴<前篇> 若き日の苦悩と転機…先輩声優からの言葉
実はイ・ユヌは天才チェリストでありながら、人知れず左手に痛みを抱えており、物語中盤ではその痛みが原因で演奏家を続けられるかどうかの瀬戸際に立つことになる。
「…なかなかツラいと思いますね。(自分は)故障しないように日頃からケアをしたり、いろいろ我慢していることもあったりしますけど、ユヌも当然そうしているであろう中で、仕事というか、演奏している上で起きてしまったことなので」「彼の『僕には時間がないんだ』という言葉は、非常に胸にくるものがありました。どうしようもない恐怖感、だからこそ今やれることをやっておきたい、という想いがものすごく伝わってきて、そういったシーンは僕もすごく感情を込めながらお芝居できました」。
演奏者としてユヌの感情に寄り添った梶さんは、さらに「彼にも一度崩れかける、腐ってしまいそうになる展開がありましたけど、そのときの気持ちはものすごく分かります」と、自身も声優を生業とする中で、ツラい経験があったと続ける。そんなとき、梶さんを救う転機となったのが、数々の先輩声優から掛けられた言葉だったという。
「先輩の役者さんからのお言葉は大きいです。今よりも全然仕事が無いとき、その現場その現場で出会った先輩方がたまにご飯に連れてってくださったりしたんです。