【インタビュー・前編】バズ・ラーマンが語る、「ゲットダウン」に込めたヒップホップへのリスペクト
つまり、停電の波及効果なんだ。ニューヨーク中の機材があちこちに散らばったんだよ」。
1977年の7月、雷による大々的な停電がニューヨークを襲い、街は一夜にして混沌に陥った。一晩で1,000件を超える放火や盗難が相次ぎ、多大なる経済的損失があった報じられている。しかしながら、それはニューヨークの闇の時代を象徴する事件であると同時に、ヒップホップにとっては必ずしも悪いことではなかったことは、正面切って明言しづらいことではあるが、事実として否定できないところである。劇中においてこの停電のことが描かれ、主人公たちはこの停電のおかげで、ターンテーブルをはじめとする機材を手に入れることになる。当時のことについて、今回のインタビューに応じてくれたもうひとりのキャスト、本作でシャオリン・ファンタスティックを演じたシャメイク・ムーアがフラッシュに尋ねると、なんとも苦笑いを浮かべながらフラッシュは答えた。
シャメイク:ぼくはあの停電(1977年7月13日に起こった)のことを知らなかったんだ。
劇中では、停電が起こったとき、みんなターンテーブルとかを持ち出してるけど…あれは本当に起こったこと?
フラッシュ:そうだな…俺は…。